めも

主観です。幻覚です。考察ではありません。

ヒプマイ アニメ 9~11話(ラップバトル) 感想

いつもどおりただの感想です。

例の如くキャプチャ画像は1枚もありませんので、そういうネタバレが欲しい方は他をあたってください。

 

 

ヒプアニのバトルシーンは、いろいろ言いたいことはありますが、勝敗の理由を、明確にキャラクターに背負わせてしまったことが最大の罪だったと思います。

加えて、キャラクター設定の一部であるはずの「ラップバトルにおける強弱関係」を壊してしまったことは許されるべきではありません。

ここだけは「解釈違い」なんていう生温い言葉では済まされないんじゃないかな。

……という話です。

 

アニメについて何か思うところがあるのは、これまでヒプマイを齧ったことのあるオタクならだいたい同じなんじゃないかな~と思います。

わたしも、アニメを繰り返し視聴して、制作スタッフや声優さんたちのインタビューを読んで、少し文章をまとめて然るべきところへ提出しました。 

そのうえで筆を執りました。先に言っておくと、アニメのバトル展開以外にはほとんど触れていません。それから、コミカライズを正史として扱っています

 

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まず、そもそも1st D.R.Bでの麻天狼の優勝って、オタクが札束で殴り合った結果じゃないですか。それ以上でもそれ以下でもないし、キャラクターの人気投票ですらないと思っています(もちろんニアリーイコールではあるけれど)。

「本気でラップバトルをしたら~」とか、「ストーリーの展開としては~」とか、いろんな妄想や理想があるけれど、事実はひとつだけで、それをどうやって説得力のあるかたちでストーリーに織り込むか?というのがプロ仕事なんじゃないかな。

既にご存知のとおり、バトルの一連の流れは原作の百瀬先生によってシナリオ化され、コミカライズという形で世に放たれています。台詞や行動は勿論、バトルシーンの一挙手一投足まで細かく指定されていたようで、コミカライズのバトルシナリオはそれなりに納得感のあるものになっていると個人的には思います。その中で彼ら(ワンダース)は、自分たちが勝った/負けた理由を明確に口にしていないんですよね。札束ファイトの結果なので、当然と言えば当然です。

なんでアニメもコミカライズどおりにやってくれなかったんだろう(理由は制作スタッフインタビューを読めばわかるかと……)。

 

 

1.アニメ9話:Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW

ぶっちゃけこの回は、コミカライズどおりに可もなく不可もなくバトルが進んだな~と思っていたのですが、脚本が原作の百瀬先生だったんだね。思わず口から「あ~!」と言葉が出たくらい納得した。

 

ただ、2,3番手対決で山田兄弟がやや劣勢であるところは、ほんの少しだけ気になりました。言い方を変えると、銃兎と理鶯が必要以上に強キャラ風を吹かせているというか。アニメだけを見ていると明らかに子ども対大人の構図なので、妙な納得感があるところが(原作を知っていると)かえって違和感

 

大前提として、原作では2,3番手同士のバトルの実力は互角です。どちらか一方が明確に強い/弱いという描写はありません。
※コミカライズのバトルシーンでは、2,3番手は必ず相手チームのリーダーに倒されています(1番手>2,3番手なので)(コミカライズで2,3番手ダウン描写のないシブジュク戦と、ハマジュク戦のバーサーカーは除く)

この時点での二郎と三郎って「ひとりだとちょっと弱いけれど、ふたり揃ったら1+1以上の力を発揮して、大人(銃兎・理鶯)と互角に闘える」ところが魅力なんだよね。実際、コミカライズの二郎と三郎は、銃兎と理鶯の攻撃に耐えきる実力を見せています。

WWWのドラマトラック「Louder Than A Bomb」や、コミカライズでの予選にあたる二郎・三郎の絆を深めるストーリーがなかったので、仕方なかったのかもしれないけど……。いや、アニメお当番回で描いておけばよかったのに……(2話は好きです)。

 

あと、これを書くにあたって見返していたら、三兄弟の掛け合いラップで一郎が「堅い絆示す如く」って言ってて笑っちゃった。インビジさんに罪はありませんが、絆推しならブクロが優勝するオリジナルシナリオにすればよかったのに。

 

9話のお口直しにWWWをどうぞ!

 www.youtube.com

 

 

 

2.アニメ10話:Fling Posse VS 麻天狼

制作陣のインタビューを読んだり、Twitterを見たりする限り、制作陣にとって相当の自信作だったんだろうなと思います。実際には、シブヤ推しの評価が割れて、シンジュク推しは……という印象。

 

わたしもシンジュク推しなので言いたいことは山のようにありますが、少なくとも、1番手(元T.D.D)2,3番手という力関係を崩してしまったことは許されるべきではない

 

初見で、「独歩はよくこれで予選を乗り切ったなぁ」と思ったのですが、後から思えばただのホビアニあるあるなんですよね。弱い主人公が強敵を倒しちゃった☆っていうやつ。

たとえば、まだ若くて明確な伸びしろのあるBBならまだしも、麻天狼でその筋書きをなぞるのはなかなか苦しいんじゃないかな。だって、ワンダースでは最年長、リーダーがジャンル内最強と言っても過言ではなく、厄介アビリティ持ちが3人揃っている設定ですよ……。

 

3話の感想で以下のように書きましたが、期待していた自分をぶん殴りたい。ホビアニ路線への伏線でしかなかったんだよ!

独歩が必要以上に下げられたり弱気な面ばかり描かれたりするのってあんまり好きじゃないんだけど、1st D.R.Bのシナリオをなぞる以上は、最終回に向けて(コミカライズ版のような)良い意味での落差を期待して受け入れるほかない……。 

 

こちらの2,3番手の実力は、コミカライズではほぼ互角。コンビ対決に限り、僅差で一二三・独歩に軍配が上がりますが、力の差はないと言い切って良いと思います。

一方アニメでは、独歩の最初のヴァースを受けた帝統は無傷。一二三と独歩は過剰にダメージを負っていたので、振り返ってみればやっぱりホビアニ路線だなぁと。

 

シブヤ3人攻撃で無残に吹っ飛ばされた先生にもやや驚いたのですが、問題はその後。

独歩(3番手)が乱数(1番手)をダウンさせた。これが本当にダメ。

この瞬間に、越えてはいけない一線を越えたなと思いました。

 

ヒプマイは間違いなくキャラクターカタログコンテンツですが、メタ的には全員平等に扱われているわけではなく、1番手(元T.D.D)>2,3番手という明確な線引きがあります。

作中で両者を隔てるものは、ラップバトルでの強さです。つまり、ラップバトルの強弱が元々のキャラクター設定に織り込まれているはずで、ともすれば、「3番手に吹っ飛ばされてダウンする1番手」はそれだけでキャラクター崩壊なんだと個人的に思います。

 

9話(コミカライズに寄ったバトルの流れと、2,3番手アビリティ全カット)を見て、「10話(シブジュク戦)も同様だけど、11話(ハマジュク戦)で独歩のアビリティは出てくるだろうな」とは思っていました。そもそも、(キャラカタなのに)2,3番手の中で独歩だけアビリティが出されたことにも若干納得がいかないのですが、コミカライズの時点でバーサーカーだけちょっと扱いが違うので、まあそれはいいとして……。まさか斜め下を潜り抜けてくるとは。

しかも、アニメ制作陣、どうして10話で独歩に勝負を着けさせたのか覚えていないらしい。考えもなしに3番手が1番手をダウンさせるという愚行を……?
ヒプノシスマイクというコンテンツも、原作の百瀬先生も、我々オタクも、無意識のレベルで馬鹿にされているんだな~と思いました!

 

そして、吹っ飛ばされた後も余裕の表情でおしゃべりするシブヤの3人。「勝ったと思って余裕で軽口叩いてたら、突然出てきたバーサーカーに吹っ飛ばされちゃった☆ てへ☆」という文脈だと思いますが、コミカライズの全力で戦って満足げに倒れる乱数が好きだからこそ、個人的にはナシです。

 

ただ、わたしはシブヤ推しではないし、独歩推しでもありません。だから、こういうシブヤが好きとか、独歩がかっこよかったから最高とか、そう思う人の意見を否定するつもりはさらさらないということだけ付け加えておきます。このあたりは「解釈」の範囲なので。(ちなみに、10話のバーサーカー状態の独歩のラップはむしろ好きです。それに至る展開が気に入らないだけ……)

 

あと、この回は言うまでもなく「シブヤの絆回」なんですよね。絆推しならシブヤが優勝するオリジナルシナリオにすればよかったのに。

 

10話のお口直しにBBBをどうぞ!

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3.アニメ11話:MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼

「力」vs「絆」というのも、ホビアニあるあるでわかり易い対比だと個人的には思います。ただ、残念ながら、MTCと麻天狼はこのテンプレートに当てはまるチームではないんですよね。にも拘わらず、MTCに「力」、麻天狼に「絆」というポジションをとらせて、オタクの札束ファイトの結果に理由付けをして、それをキャラクターに背負わせてしまったことが、このアニメの最大の罪だと思います。

 

 

以下、ここがヘンだよ11話!というのを書いたら長くなった(読まなくていいです)。

何度も繰り返していますが、原作での2,3番手の実力は互角なので、一二三・独歩の攻撃が銃兎・理鶯にまったく効かないなんて、それだけでキャラクター崩壊(4人とも)です。取ってつけたような「麻天狼はdisらない」「麻天狼は弱い」設定はいったいどこから出てきたのか……。先生の回復が効かないのも意味不明というか、中王区が欲しがるアビリティを軽視しすぎでは? それに、先生の性格を考慮すると、回復が効かなければもっと早く攻撃に切り替えると思います。それから、シェルター持ちの理鶯くんは、何故左馬刻を物理的に吹っ飛ばしたの?……というのは、2,3番手のアビリティ発動ナシなので百歩譲っていいとして(理鶯くんのアビリティはヴァースと発動タイミングの関係が謎なので、アニメでは描けなかったのかもしれない)。それでも左馬刻のアビリティを考慮したら、銃兎と理鶯は左馬刻を吹っ飛ばさずに、先生の攻撃を敢えて食らわせておくという判断ができるのでは? さすがに左馬刻が一撃で沈むとは思えないし。

 

これは個人的な見解ですが、原作(楽曲)から伺える限りでは、キャラクターが「絆」を意識しているのはむしろMTCの方なんですよね。「絆」というか、一蓮托生の仲間という言葉の方が近いかな。それぞれが確固たる目的のためにマイクを握っていて、おそらくひとりでもじゅうぶん強い3人が敢えてチームを組んでいる。にもかかわらず、アニメの中で、MTCは「絆」がなかったから負けたということになってしまいました。

とはいえ、麻天狼に「絆」がないと言いたいわけではありません。「絆」を強調するために、「力」がないという描写をされて、麻天狼はたいして強くないくせに「絆」があったから勝ったという設定にされてしまったことがいただけなかった。原作で、少しでも「麻天狼は弱い」という設定があるならまだしも……。「Shinjuku Style~笑わすな~」を5万回聴いてほしい。

 

で、どうしてこんなことになってしまったのかというと、何度も繰り返しているとおり、麻天狼を主人公に据えたホビアニ展開だからだろうと思います。「力」と「絆」では「絆」が勝つというのはお約束です。先述のとおり、このテンプレートにMTCと麻天狼を当てはめたのでしょう。

 

いや、ただの札束ファイトの結果なんですよ……。冒頭に戻りますが、だからこそ、コミカライズ版のシナリオには「なぜ勝った/負けたのか?」の説明がありません。どのチームも強くて、互角に渡り合った結果、今回は麻天狼が勝った。それだけでよかったんだと思います。にもかかわらずわざわざ勝敗に理由をつけたことは、正直、「余計なことしやがって」の一言に尽きます。これまでストーリーの外で独立していて、かつ、我々が一応納得していたものを、後付けでキャラクターに背負わせることになったからです。

 

穿った見方をしてしまいますが、制作陣がインタビューで独歩のことを「振り返ってみたらなんか全体(1~10話)を通してフィーチャーされてた(笑)」と他人事のように語る始末なので、お得意のホビアニテンプレートに当てはめることが最優先で、原作の設定なんかどうでも良かったんじゃないかな。そんなことは思いたくないけれども。

 

アニメを見返す暇があったら、DEATH RESPECTを10万回聴いてください。

DEATH RESPECTはいいぞ。

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おわり。